この度、15年勤めた会社を退職することになりました。
そして、家具職人になるため、1年間職業訓練に行きます。
家具職人になろうと思ったきっかけや、どうして職業訓練に行くのか
ダラダラと書きました。
よければご拝読ください。
なぜ家具職人なのか
まず、家具職人をめざすきっかけについて。
僕はもともと家具というものには一切興味がありませんでした。
実家は金銭的に余裕がなく、両親は家具やインテリアに気をつかうタイプではなかったので
自分自身もそういうことに特に気を使う人間ではなく、一人暮らしを始めたときもダサい家具を適当に買いそろえるという感じでした。
家を建てたことをキッカケに木の魅力に気づく
そんな僕ですが数年前、家を建てました。
新築一戸建て注文住宅です。
もちろん自分一人の収入ではローン返済きついので、共働きの妻の収入がある前提の買い物です。
家を買うときに、フローリングをどんなものにするか決めると思うんですが
建築を依頼した工務店は 無垢のフローリング が標準だったんですね。
この”無垢”というワード 最初は意味わからなかったんですが
設計士の人に聞くと 無垢の木=天然の木材 ということがわかりました。
その辺の知識が皆無だったんですが、大手ハウスメーカーなどでは、フローリングは無垢ではなく、合板(ベニヤ板の表面にうすい無垢材を貼りつけたものや、木材風の柄のプリントを貼りつけたもの)を使うのが一般的とのこと。
無垢の方が材料費が高いことや施工技術が必要となったり、後々反りが出たりしてクレームが来るのを嫌ってのことだと思います。
無垢材の良いところは
- 傷がついてもサンドペーパーで磨いて、目立たなくできる(むしろ傷がついても味が出る)
- 経年劣化を楽しめる
- オイルで塗装すると木の質感が保たれ、足裏がベタベタしない(大手は主にウレタン塗装で裸足ではベタベタする)
- 同じ木目が存在しないので、見て楽しめる
という要素にすごく惹かれまして・・・
それから 木 というものに興味を持つようになりました。
そして家を建てたことに伴い、新たに家具を揃えることになりました。
一言で家具といっても、プラスチック、金属、木製など色々ありますが、やはり自分が欲しかったのは木で作られた家具でした。
まあ、一般的に家具といえば 多くの人が 家具=木 というイメージを持っていると思います。
でも、色々調べていくうちにわかったことは、木製の家具でも 家のフローリングと同じように 無垢の家具とそうでないものが存在することを知りました。
例えば、有名なニトリやIKEAの家具はフラッシュ家具といって 表面に薄い天然の木材を貼りつけた作りのテーブルや棚が多いです。
もちろんこれが悪いわけじゃなく、無垢の家具だとコストUPや重い、反ってしまうなどのデメリットもあります。
※厳密には1本の木から切り出した材料のみが天然無垢となりますが、一般的にはそれを接着材でつなぎ合わせたものも”無垢”として扱われます。
何件か家具屋を回りましたが、有名な家具屋でなくても、意外と無垢材を使った家具って少ないものです。
最終的には無垢材のテレビボードとリビングテーブルを買いました。
家に遊びに来てくれた人には、家の雰囲気と合っていると褒めてくれる人もいるので、満足しています。
あとはYチェアという椅子も買いました。
椅子の中では比較的手が届きやすい価格帯ですが、昔の自分ではありえない買い物です。
憧れのYチェアを買ったので座り心地をレビュー。
この記事ではYチェアについてレビューした内容を解説しています。
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インスタ映えするようなオシャレな空間を演出できるようなセンスはありませんが、家具に興味を持ったことで、室内空間を充実させたいという思いがでてきたのが、家を建ててから芽生えた変化です。
マイホームをDIYするように
家具に興味が出てきた一方で、家に住む中で使い勝手が悪かったり、ここもっとこうしたいな、みたいな所が出てきます。
そう思った時に改造できるのが、マイホームの良いところです。
最初にやったのは、一応僕の趣味部屋として割り当てられていた部屋に棚が欲しかったので、DIYで作ることでした。
可動棚にしたかったので
壁に穴をあけたり、棚柱を取り付けたり、下地がないところに石膏ボードアンカーをつけたり・・・と
大した工事じゃないですが、何もかも初めてのことでし、やり方をググりながら作業するのがとにかく楽しかったです。
(YouTubeとかで初心者で古民家DIYリノベとかやってる人ホントにすごいと思います)
夢中になるあまり、子どもの世話を妻に全部押し付けてしまったので、最後に大喧嘩しましたが・・・(^^;
とにかく何かを作る作業、とりわけ木を使って何かを作るというのがとにかく楽しいと感じたのでした。
それからは生活の中で使い勝手が悪いと感じる箇所をDIYで改造するということをしていました。
木工教室で家具を作るように
家具への興味+DIYが楽しい
これが発展し、もっと本格的な家具を作ってみたいと思うようになりました。
そんなことを妻に話すと
「木工教室に行ってみたら?」
と、車で行ける距離にある、木工教室を探し出してくれました。
大阪にある木工教室に通い
- 子どものお絵かきテーブル
- シェルフ(棚)
- ダイニングテーブル
- ティッシュケース
を作りました。
オシャレなダイニングテーブルを安く手に入れる方法。DIYで天板にアイアン脚を取り付けるのがオススメ。
この記事ではダイニングテーブルを安く手に入れる方法を解説しています。
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【木工DIY】ティッシュケース作り。
ティッシュケースを作りました。
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DIYでネジで留めたような作りではなく、ホゾという木組みで本格的作ったりして、時間がかかりますが、質の良いものを作るという点で魅力ある作業でした。
教室といっても定期的に通うわけではなく、作りたいものがある時、集中的にいく感じだったので
3年間くらいの間に作ったのは、4個くらいですが、作ってると時間があっという間に過ぎてしまい、めちゃくちゃ楽しい時間でした。
前置きが長くなりましたが、家具を作っていく中で、もっと本格的に技術を身につけて、家具作り・木工を仕事にしたいと思うようになりました。
なぜ職業訓練なのか
家具職人を目指したいとなった時、方法はいくつかあります。
- 未経験で採用してくれる家具メーカーや工房・木工所に就職する
- 民間や公立の学校に行く→独立か就職を目指す
- 職業訓練(技術専門校)に行く→独立か就職を目指す
などです。
一番手っ取り早いのは1.の就職だと思います。
木工業界は人手不足のようなので、求人を探すと意外と未経験で募集しているところが多いです。
ただ、僕の場合、「無垢の木」というもに惹かれたので、無垢材の家具を作りたいという思いがあります。
知り合いの木工経験者の人の話では、もし無垢の家具をやりたいのであれば、刃物の研ぎを出来るようにしておかなければならない、とのことでした。
鉋やノミなどの刃先を研ぐ、ということですね。
最近では色んな電動工具があり、自動カンナなどもありますが、
無垢の家具の場合、最終的には手工具での仕上げが必要となり、刃物の切れ具合で製品の仕上がりが全然違ってくるしいのです。
その刃物の研ぎをある程度、習得しようと思うと、時間をかけて練習する必要があり、どこかに勤めながら練習するというのは現実的には厳しい、ということを教えてもらいました。
そうなると学校に行くか、失業保険をもらいながら職業訓練に行くか、ということになってきます。
職人になるにあたり、じっくり時間をかけて学ぶとなれば2.の学校に行くのがベストだと思います。
有名なのは、岐阜県にある私立の「森林たくみ塾」、公立では「岐阜県森林文化アカデミー」などがあります。
※森林たくみ塾出身の方が書いているブログです。木工のことだけでなく子育てやお金のことなど参考にさせてもらっています。
ただ、ここに行くとなると、
- 学費は実費+その間の収入0
- マイホームを建てたのに引っ越す必要がある
ため、正直現実的な選択肢ではありません。
ということで現実的に選択できるのが職業訓練に行く、ということになります。
ただ、この職業訓練についても、本格的な家具づくりを指導してくれるところが少ないようです。
幸いにも、僕が住む地域(奈良県)の奈良県立高等技術専門校では1年かけて、刃物の研ぎから教えてくれるカリキュラムとなっています。
- 家から通える距離
- 失業保険が1年間もらえる
- 刃物の研ぎを教えてもらえる
などの条件が揃ったので、職業訓練を受けた後に、就職先を探すという選択を取ることができました。
なぜこのタイミングなのか
今の会社は高校を卒業して約15年間勤めてきました。
高校卒業後、大学に行きたい気持ちはありましたが、金銭的な事情から諦め、学校の先生の紹介でたまたま入社することになった会社です。
他の職場を知らないので何とも言えませんが、おそらくかなり働きやすい職場です。
まともで親切な人が多い、有給が取りやすい、基本は残業がない、
ということもあり、特別きっかけもなかったので、これまで働き続けてきました。
(入社3年目くらいに辞めたいと思ったことはあったんですが、部署異動で何とか解決)
ただ、この先の将来を考えた時に、あと30年近く今の仕事を続けたいという気持ちはありません。
多分世間知らずの、わがままなんだと思います。
会社の人たちに辞めるという話をした時に、応援してくれる人もいましたが、ネガティブなことばかり言ってくる人もいました。
まあ、その人たちは嫌味で言ってくる感じではなく、一応心配してくれている感じはありましたが
もう、家具職人になりたいという気持ちが芽生えてしまった以上、このまま今の会社に居続けても、
「あの時もし会社を辞めて、別の道に進んでいれば・・・」
と後悔することは確実です。
もちろん、転職した後にうまくいかず、あの時辞めずに残っていれば・・・と後悔する可能性も無くはないです。
ただ、今のタイミングを逃せば、もうこんなチャンスは一生巡ってこないと思います。
体力はどんどん衰えるばかり
子ども2人は幼いけど、お金がかかるのはしばらく先
目先の数年は確実に収入が下がるけれど、始めるなら今しかないと思っています。
家族に感謝
ウダウダと書いてきましたが、結局は家族、特に妻がOKしてくれたおかげです。
妻が社員で働いてくれてなければ、絶対に成り立たない道です。
渋々ながらも許可してくれた妻には感謝しかありません。
あと、意外だったのが義理の両親や姉妹が、僕の決定に対して肯定的だということです。
特に義母なんかは
「何とかなる、自分のやりたいことやらないと」
と応援してくれてます。
僕自身、今までの人生の岐路で、今回みたいに能動的に意思決定をしたことなんてありませんでした。
いつも消去法というか、与えられた選択肢から一番マシなことを選ぶ、という受け身で生きてきました。
でも、人間、やりたいことがあると本当に前向きになれるんだと初めて知りました。
ただし、仕事として家具作りをするからには、今までのような趣味とは違います。
自分が作りたいものだけを作ればいいわけではなく
仕事には納期がある
もし独立の道を選んだ場合、そもそも仕事をもらえるかわからない
不安要素を挙げればキリがありません。
でも、そんなことばっかり考えて、行動しないんじゃ、何も変わることはありません。
もしうまく行かなくても死ぬわけでもないですし(機械で大怪我をする可能性はありますが・・・)
とにかくコツコツやっていくしかないと思ってます。
これからの人生に不安もありますが、自分で決めたことなので、後悔しないように楽しんでいきたいと思います。